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2016. 06. 10. Fri.

◎山と旅とピクニック
昨年の十月、石川さん http://f-d.cc/ に誘われて屋久島を縦走した。初めての登山が屋久島とは、かなりハードだったが、すっかり山が好きになってしまった。しかし悲しいかな、頻繁に登山をする時間はない。そんなわけで、山道具をバスケットに詰めこんでピクニックをすることにした。やってみるとなかなか楽しい。発見することが多く思想化 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%9D%E6%83%B3 してみるには面白いテーマだと思った。そしてさらに発展させたのが車で巡る「その町で暮らすように旅をする」というものだ。
◎その町で暮らすように旅をする
今年二月、カメラを買った。
そのカメラで知らない土地の人や自然の美しい風景を撮りたい。漂泊とアートは未だ蜜月の関係にあるのだ。※1
物作りに携わる者は昔から旅が好きだったし、世間も彼らの旅の報告を楽しみにしてきたのだ。創作に行き詰まったとき、新たなインスピレーションを得たいと思ったとき、荷物をまとめて旅に出る。古今東西の芸術家がこの常套手段を使って窮地をくぐり抜けてきた。(「なぜに旅と写真は相性がいい」大竹昭子)
出来るだけ、いろんな土地に行ってみたい。車で移動し、気の赴くままに写真を撮る。例えばコーヒーが飲みたいと思ったら、適当な場所に車を停める。自分で焼いた豆をミルで挽いて、ゆっくりとネルドリップする。地の美味しいものを食べたいと思ったら、地元の人が通うお店や農家さんから食材を手に入れて自分たちで料理をする。そうすることで、その町に暮らしているような、リアルな旅を楽しむことが出来るのではないか。山の道具があれば、そんなことはいとも容易いというわけだ。
◎鳥取への憧憬(旅の動機について)
1)鳥取を最初に意識したのは五年前だったと思う。深夜に観たドキュメンタリー番組で自然の中で野外保育を行う「まるたんぼう」の活動に深い感銘を受けたことだ。園舎はなく豊かな森や自然の中で、五感をフルに使った大自然の保育園。子どもたちは皆逞しく、優しく、美しかった。大人は最大限見守るのみ。そんな「まるたんぼう」の教育と鳥取の豊かな自然に憧憬の念を抱いた。
2)番組を観た後、しばらく経って「”Tottori no Totteoki(鳥取の取って置き)”展」がorganで開催された(2011年8月)。豊かな自然ばかりではなく、鳥取は「民藝」との深い繋がりがある土地だという認識を深めた。
3)近年益々写真への興味が高まり、鳥取と言えば植田正治がいるじゃないか。そう思うと僕も砂丘の写真を撮ってみたいという願望を持つようになった。
4)昨年、PERMANENTの取扱店だった栃木の「白線文庫」さんが、鳥取に移住しご夫婦で新しい店「HAKUSEN」をオープンしたという知らせをいただいた。その頃から不思議とSNSを通じて、身近な友人知人たちが鳥取に行ったというポストを頻繁に目にするようになった。一番驚いたのは、料理家の井口和泉ちゃんが「HAKUSEN」に行ったというポストを見たこと。また二番目に驚いたのは、毎年二回は日本にやってくる台湾のマオさんとアーロンが、今回は鳥取に行っていたこと。http://thisdesign.petit.cc/banana/2573884 大体、買い付けで各地を転々とする彼らが、鳥取に「観光」のために訪れるなんて、珍しいことがあるもんだと思ったのだ。
なんだろう鳥取。それでようやく機が熟したのだと僕は悟った。
訪れてみたいと思ってから五年越しの鳥取旅行。折角なら広島を経由して、島根にも足を伸ばしてみよう。
◎一日目(福岡→広島)
朝8時に家を出発し、広島に着いたのは12時半過ぎだった。
東京の間澤さんから、広島に行くなら是非「政ちゃん」に、と薦められてお昼は広島風お好み焼きにした。地元客が通う小さな店で、鉄板が一つ。おばちゃんが軽やかにさばくコテの音を聞きながら、広島に来た感触を味わっていた。
政ちゃんを出て斜向かいのカフェに立ち寄ると、見覚えのあるカリグラフィが飾っていた。なんとオーナー夫妻と内田さんとは親しい間柄だというではないか。

すごい偶然。先日、福岡に来たなら是非、PLACER WORKSHOP に行くべきだと東京の間澤さんにお薦めしていたから、面白い事もあるものだ。

僕らが訪れた日は、広島三大祭りの一つ「とうかさん大祭(ゆかた祭り)」の初日で、中心部に入るとゆかたを着た女性の姿が目立った。広島に来た目的の一つ。PERMANENTの創刊当時から取扱して頂いているCASICOさん http://www.wandervogel.jp/ に御挨拶を済ませ、事前にリサーチしていたお店を見ながら、別の取扱店「READAN DEAT」へ。http://readan-deat.com/ (「民藝の歴史(志賀直邦 著)」を買う)オーナーの清政さんから「今、広島で一番センスのいい店」と薦められ、幟町にあるCite’ http://www.cite.jp/ へ。時計を見ると閉店時間が近い。僕らは急いで路面電車に飛び乗った。(つづく)※1 アートの占有権はアーティストだけがもつものではない。アートの扉は常に開かれている。


”写真を撮るということは、アートなのだ”(LIECA CAMERA JAPAN)
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