「光が良いですね」というと西山君は口を動かさないように小声で「はい」と言った。 「笑わないでください」というと、あやちゃんはこちらを見据え、気が済むまで撮らせてくれた。 写真を撮る人は撮られることに寛容であるように思われる。 そしてレンズを見つめ合い、互いの意識の交感を楽しんでいるのかもしれない。