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2016. 09. 25. Sun.

9月10日(土)快晴(実はこの日と11日は写真をほとんど撮っていない)
昨夜、野田さんと史絵さん、そして僕らで「凪」展の初日がスタートしたことを祝って、シャンパンとワインを飲んだ。野田さんが疲れていたにもかかわらず、遅くまで。
翌日は早朝から蚤の市に出掛ける予定だったけど起きる自信はまったくなかった。しかし、ちゃんと史絵さんが僕らを起こしてくれ、20分かそこらで支度をしてPorte de Vanvesまでのメトロに乗った。
規模的には中ぐらいと聞いていたヴァンブだったが、それは僕らの想像を遙かに超えていた。途中、まどかさんたちに何度か会った。「ずっと見てるうちに目が慣れて欲しいものが見つかる」と彼女は言った。それは本当にまったくその通りだった。お昼前に買いものを終えて、僕らは7区に戻った。お腹がぺこぺこだった。
パリに着いた日、ケイコさんがこの界隈のお店を教えてくれていて、特に「MARLON」のバーガーを絶賛していた。だからランチはそこでとることに。やはりここでも予約は必須だったみたいで、僕らは運良く入れたが、後からやって来たお客はことごとく断られていた。
特大のバーガーにナイフを突き刺さしてサーブされる。パリなのに超アメリカンな感じ。確かに美味しいバーガーだったんだけど、僕は半分くらいしか食べられなかった。残りの半分は千歌ちゃんが食べた。

明日は、かなり早い時間にCDGに行く予定になっていたので、言わば、今日が最終日。だからこそ、ゆっくり過ごそう。近所で買いものを済ませ、野田さんたちの顔を見に行った。

これで最後なのかと思うと少し寂しくなってきた。漂泊する者にとって「別れ」は避けることのできないものなのだ。そして、ふとこんなことを考えた。これから先、僕はパリのことを何度思い出すだろう。その度に輪郭が曖昧になっていたり、埋もれてしまっているものがあるかも知れない。些細な記憶ほど大切にしたい、と。

だから記憶に留めておきたいことを記しておく。
・僕らのカートにガンガン当たろうが決して通路を譲らない床掃除をしていたスーパーの店員。
・スーパーの前の決まった場所にいたホームレスと黒い犬。
・アコーディオンを抱えて地下鉄に乗りこんできた老人が「パリの空の下」を演奏したこと。そして、次の駅で青年が老人にチップを手渡して電車から降りたと。(実はこれと似た光景を僕は何度も見た)
・メトロの中の若い女性たちの小さな声で話す可愛らしいフランス語。
・アパルトマンのキッチンから見えた飛行機雲。

そして、相変わらず道端にはタバコの吸い殻と犬の糞が落ちていた。
そんなものが落ちていると思えば、僕の足下に可愛らしいピンクのハートマークが落ちていたりする…。なんてパリはロマンティックな街なんだろう。(終わり)

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