先日、料理研究家・井口和泉さんのスタジオで撮影を行った。
彼女がつくる料理は無論のこと、ただ食材を並べている景色を見ているといつも感じることがある。ほぼ無意識に美しく並べてしまう、という人が世の中にいるということを。単に整理整頓が上手いということではなく、物と物の関係性を感覚的に知っている、或いは、感覚にそういった感性が組み込まれている人。
以前、古川さんの高校時代からの友人でアーティストの奥伝三郎氏のその並外れた才能を語る際に聞かせてくれたエピソードを思い出す。「何でも彼が触るもの・・・例えば、何気なくティッシュを丸めてもその形が絵になっている」。古川さんには、何でもないただのティッシュがそう見えたという。