THIS DESIGN

TEXT

HOMEMADE RAMEN

2023. 11. 17. Fri.

家でラーメンを作るようになって9年近いようだ。facebookでは最初のラーメンを作ったのが「2015年3月7日」だったとアーカイブされていた。 https://www.facebook.com/photo/?fbid=927956470571985&set=a.182524865115153&locale=ja_JP

ラーメンを作り始めた理由は単純明快だ。飲み会の帰りに寄った締めのラーメンを食べた夜、明け方まで腹痛と下痢に見舞われたことがある。もちろん、ラーメンとの因果関係はないかもしれないが、その一件以来、好みのラーメンを作ってみたいと考えるようになった。

そんなある日、うどん用に濃い目の出汁を引いていた時、ふと思いついた。うどんつゆを拵えて、それにごま油を入れてみたら、案の定(醤油)ラーメンのスープのような味になった。それが僕の手作りラーメンの第一歩。

手作りでやるなら、素材はできるだけ質の良いものを使いたい。
例えば、水。水は毎年汲みに行く場所を変えているが、今年は山鹿にある岳間の水
これまで最高に美味しいと思ったのは、島原にあるスーパー井上というお店の脇に湧水が出ていて、全く雑味がない。雲仙山系に育まれた水が湧出し澄み切った水。また水汲み場あるあるの「待ち時間」もなくストレスフリーなのもいい。あと、熊本の池山水源。この二つの水は本当に素晴らしい。実家の近くにある畑冷泉も良かった。佐賀のみやきの名水もおすすめ。

鶏ガラは、遺伝子組み換えでない国産の飼料で育ち、開放鶏舎の平飼いで抗生物質などの薬剤を可能な限り使わないといった人の体にも環境にも配慮してした鶏のガラを炊いています。肉を追加して過剰に旨みを引き出すといったことはせず、丁寧に肉を捌いた首ガラだけを使って美味しいスープをとるのを信条としている。

昆布は、クセのない香りとうまみの強いだしが摂れる利尻の昆布を(昆布は都度変更したりしている)。
いりこは伊吹産。伊吹いりこは遠浅で海流が緩やかなため、骨や身が柔らかい。鮮度の良い片口いわしは、加工すると水が浸透しやすく、出汁の出がよいそうだ。

麺に使う小麦粉は、お気に入りのものが見つかるまで5年かかった。鶏ガラ同様、人にも環境にも配慮した栽培方法で育てられた小麦粉で、タンパク量も重要な点であった。小麦粉に含まれるたんぱく質は、主にグルテニンとグリアジン。 グルテニンは抗張力が強く、ひっぱって伸ばすのに強い力が必要で、グリアジンは軟らかくべとべとしている。 この2つのたんぱく質が水と一緒になって、小麦粉特有のグルテンを作り出す。したがってタンパクの量が多ければコシの強い麺が作れる。(無論、農産物なので当然その年によって状態が変わる)

ところが多くの場合、タンパク量の調整には化学肥料を施肥することが慣行している。以前から、化学肥料よる環境破壊を指摘するさまざまな報告が上がっている。https://www.greenpeace.org/japan/campaigns/story/2021/07/05/52110/
だから、NON-GMO(遺伝子組み換えでないもの)で、無農薬・無化学肥料、そしてポストハーベストの国産小麦粉を使いたいとずっと探していた。(もちろん、九州にも無農薬・無化学肥料で栽培している小麦(ミナミノカオリ)はあるが、残念なことにタンパク量が低いのでコシが足りない。)巷で聞くグルテンアレルギーの要因に、農薬もあるかもしれないが、僕は化学肥料が関係しているのではないかと考えている。もちろん持論の域を出ていないけれど。(軽く検索をかけたらこういう記事が出てくる
http://imprestion.com/wp-content/uploads/2020/04/f1e575140990d264f6355c7d1a78bf8f.pdf

昨年、北海道の知り合いに教えてもらって、現在の小麦粉を使うようになった。製粉まで自社で行っている安心安全な小麦粉だ。これを麺にして熟成させず(日をおかず)、切り出したその日に食べるのが僕たちの好み。

他の素材についても話し出したらキリがない。醤油についても、香味油についても、チャーシューについても、卵についても。メンマ(筍)も。それぞれにストーリーがあり、納得できるものを使っている。これが手作りの良さだ。

とはいえ、ラーメンは食堂のメニューの一つにあるような、気軽で親しみのある食べものである。決して気をてらったり、高尚なものにしてはいけない。素材は拘りつつ、ちょうど良いラーメンを作るのが僕の最大の関心ごとだ。見た目も550円くらいのビジュアルが理想的だなと思う。

BLOG ARCHIVES