HYDRANGEA
2014. 06. 24. Tue.
また、この辺りは猫の通り道のようで、犬が念入りに匂いを嗅ぐおかげで、幸いにも鑑賞の邪魔をされないで済んでいる。しかしである。困ったことに家に帰っても紫陽花のことが頭から離れないのである。そして、さらに困ってしまうのが、一輪だけでも連れて帰ってしまおうかという衝動に苛まれることなのだ。だが僕は蚊以外の生きものは殺せないし、花も摘んだり出来ない。摘んだ瞬間にその命が絶たれるのかと思うと、本当に恐ろしくなってしまう。
毎日、そんな理性と本能の鬩ぎ合いを繰り返していた。あの美しい姿を傷つけることなく毎日毎時間眺められるよい方法はないだろうか。考えた挙げ句、散歩が終わった後、カメラを持ち出し、再び坂を登って紫陽花たちに会いに行った。山越えをする車が頻繁に通る上に、カーブになっている場所だから、道を挟んでしか眺められなかったのだけど、今日、初めて間近に見ることができた。淡い青や紫の花びらは、本当に溜息が出るほど美しかった。そして、たった一輪であっても、やはり僕には持ち帰ることなど出来ないと悟った。